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トレーニングの基礎知識コラム

加圧トレーニングのメリット・デメリット|ダイエット・筋力アップへの効果は?

加圧トレーニングのメリット・デメリット|ダイエット・筋力アップへの効果は?

加圧トレーニングは、短時間かつ軽い負荷で高い効果が期待できるとして注目されています。
主なメリット・デメリットは下記のとおりです。

メリット
・短時間かつ軽い負荷で筋力アップを目指せる
・脂肪燃焼を促進するダイエット効果が期待できる
・血行が促進され冷えや肩こりの改善にもつながる
・成長ホルモンの分泌による美肌効果
・ケガからの回復力向上やリハビリにも活用される

デメリット
・自己流は危険なため専門家の指導が不可欠
・専用器具が必要でトレーニング費用がかかる
・正しい知識がないと内出血などのリスクを伴う

この記事では、加圧トレーニングの具体的な内容やその仕組みから、ダイエットや筋力アップといった効果、知っておくべきメリットとデメリットまでを網羅的に解説します。

加圧トレーニングのメリット・デメリット|ダイエット・筋力アップへの効果は?

そもそも加圧トレーニングとは?その仕組みを簡単に解説

加圧トレーニングとは、腕や脚の付け根に専用のベルトを巻き、血流を適切に制限した状態で行うトレーニング手法です。
この方法の最大の特徴は、非常に軽い負荷でも、高負荷のトレーニングを行った際と同様の効果を得られる点にあります。

専用のベルトで血流を適切に制限して行うトレーニング方法

加圧トレーニングの基本的な方法は、腕の付け根である上腕二頭筋の付け根や、脚の付け根である大腿部に専用の加圧ベルトを装着することから始まります。
トレーナーが個々の体力やその日のコンディションに合わせて、専用の空圧式センサーで圧力を測定し、適正な圧に設定します。

血流を完全に止めるのではなく、心臓から送られる動脈の血流は適度に保ちつつ、心臓へ戻る静脈の血流を制限するのが特徴です。
この状態で、スクワットやアームカールといった簡単なエクササイズを短時間行います。

軽い負荷でも高い効果が期待できる理由とは

軽い負荷の運動でも高い効果が得られる理由は、血流制限によって筋肉内が低酸素状態になることにあります。
この状態では、通常は高負荷の運動でしか使われない速筋繊維が早い段階から動員されます。
さらに、筋肉内に乳酸などの代謝物が蓄積しやすくなり、これが脳下垂体を刺激して成長ホルモンの分泌を強力に促進します。
成長ホルモンの分泌量は、安静時の数百倍にも達するといわれています。
この高いホルモン分泌作用が、筋肥大や脂肪分解を効率的に引き起こすメカニズムです。

 

加圧トレーニングのメリット・デメリット|ダイエット・筋力アップへの効果は?

加圧トレーニングで得られる5つのメリット

加圧トレーニングを実践することで、単に筋肉をつけるだけでなく、多方面にわたるメリットが期待できます。
ここでは、加圧トレーニングがもたらす代表的な5つのメリットについて、それぞれ具体的に解説していきます。

メリット1:短時間かつ軽い負荷で筋力アップを目指せる

加圧トレーニングの最大の利点は、極めて軽い負荷と短い時間で筋力向上を図れる点です。
通常、筋肥大を目的とするトレーニングでは高重量の器具を扱う必要がありますが、加圧トレーニングでは自重でのスクワットや、500mlのペットボトル程度の重さでも十分な効果を発揮します。
1回のトレーニング時間は10分から30分程度と短く、関節や靭帯への負担が少ないため、運動初心者や高齢者、体力に自信がない人でも安全に取り組めます。
効率的に筋肉をつけたい人にとって、非常に魅力的な選択肢となります。

メリット2:脂肪燃焼を促進するダイエット効果が期待できる

ダイエット効果も加圧トレーニングの大きなメリットの一つです。
トレーニングによって大量に分泌される成長ホルモンには、体脂肪を分解する強力な作用があります。
トレーニング直後は体脂肪が燃焼しやすい状態になるため、その後にウォーキングなどの有酸素運動を組み合わせることで、より効率的に脂肪を減らすことが可能です。

また、トレーニングを継続して筋肉量が増えれば、基礎代謝が向上します。
これにより、日常生活でのエネルギー消費量が増え、痩せやすく太りにくい体質へと改善していくことが期待されます。

メリット3:血行が促進され冷えや肩こりの改善にもつながる

加圧と除圧を繰り返すことは、血管の弾力性を高める効果をもたらします。
トレーニング中はベルトによって血流が制限されますが、トレーニング後にベルトを外すと、せき止められていた血液が一気に流れ出し、血行が大幅に促進されます。
この作用により、普段は血液が届きにくい毛細血管の隅々にまで酸素や栄養素が行き渡るようになります。
血行不良が原因で起こる冷え性や肩こり、腰痛、むくみといった症状の緩和につながるため、健康維持の観点からも有効なトレーニング方法です。

メリット4:成長ホルモンの分泌による美肌効果

加圧トレーニングによって促される成長ホルモンの大量分泌は、アンチエイジングや美肌にも良い効果をもたらします。
「若返りホルモン」とも呼ばれる成長ホルモンは、肌のターンオーバーを正常化させ、コラーゲンの生成を助ける働きを持っています。
これにより、肌のハリやツヤが向上し、シワやたるみの改善が期待できます。

身体を引き締めるダイエット効果と同時に、内側から肌のコンディションを整えることができるため、特に美容への関心が高い人にとって大きなメリットとなります。

メリット5:ケガからの回復力向上やリハビリにも活用される

加圧トレーニングは、医療現場やリハビリテーションの分野でも活用されています。
関節に大きな負担をかけずに筋力を維持・向上させられるため、骨折や肉離れ、靭帯損傷といったケガからの回復期に適しています。
例として、患部を動かせない期間中の筋力低下(廃用性筋萎縮)を防いだり、回復を早めたりする目的で用いられます。

アスリートの早期競技復帰や、高齢者の転倒予防、術後の体力回復など、幅広い目的でその効果が認められており、安全な身体機能の改善手段として注目されています。

加圧トレーニングのメリット・デメリット|ダイエット・筋力アップへの効果は?

知っておくべき加圧トレーニングのデメリット

多くのメリットがある加圧トレーニングですが、その特殊な方法ゆえにいくつかのデメリットやリスクも存在します。
効果を期待して始めたのに「意味ない」結果に終わるだけでなく、健康を害する可能性も否定できません。
安全かつ効果的にトレーニングを行うためには、事前にこれらの注意点を正しく理解しておくことが極めて重要です。
ここでは、加圧トレーニングを始める前に必ず知っておくべきデメリットを解説します。

デメリット1:自己流は危険なため専門家の指導が不可欠

加圧トレーニングにおける最大のデメリットは、自己流で行うことの危険性です。
血流を制限するという行為は、正しい知識と技術がなければ血栓の形成や神経障害といった深刻な健康リスクを招く恐れがあります。
市販のゴムバンドやチューブなどで代用することは絶対にしてはいけません。
安全を確保するためには、必ず専用の器具を使用し、専門トレーナーの指導のもとで、人に合った適切な圧力を設定してもらうことが不可欠です。

デメリット2:専用器具が必要でトレーニング費用がかかる

専門家の指導と専用器具が必須であるため、加圧トレーニングは一般的なフィットネスクラブに通うよりも費用が高い傾向にあります。
料金体系はジムやスタジオによって異なりますが、パーソナルトレーニング形式が基本となるため、都度払いや回数券、月会費制などがあり、1回あたりの料金は数千円から一万円程度が相場です。
初期費用として入会金が必要な場合も多く、継続するにはある程度の経済的負担がかかります。
始める前には料金プランをよく確認し、無理なく続けられるかを検討する必要があります。

デメリット3:正しい知識がないと内出血などのリスクを伴う

専門家の指導下であっても、体調や圧力設定によっては身体的なリスクが皆無ではありません。
代表的なものとして、トレーニング部位の皮膚に赤い斑点状の内出血(点状出血)が現れることがあります。
これは、圧によって毛細血管がダメージを受けた結果であり、通常は数日から1週間程度で自然に消えますが、見た目が気になる人もいます。

このリスクを最小限に抑えるためにも、トレーナーにその日の体調を正確に伝え、無理のない範囲でトレーニングを行うことが重要です。
過度な圧や長時間のトレーニングは避けるべきです。

加圧トレーニングのメリット・デメリット|ダイエット・筋力アップへの効果は?

加圧トレーニングの効果を最大限に引き出すための注意点

加圧トレーニングを安全に行い、その効果を最大限に享受するためには、いくつかの重要な注意点を守る必要があります。
単にトレーニングをこなすだけでなく、信頼できる指導者の選択や日常生活の管理も大きく影響します。
ここでは、加圧トレーニングを始めるにあたり、特に意識しておきたいポイントを3つに分けて具体的に解説します。これらの注意点を実践することで、リスクを避けながら目標達成へと近づけます。

トレーニングと合わせて食事管理も意識する

トレーニング効果を高める上で、食事管理は不可欠です。
特に加圧トレーニング後は、成長ホルモンの分泌が活発になり、筋肉の合成や脂肪の分解が促進される絶好のタイミングです。この時間帯に、筋肉の材料となるタンパク質(プロテインや鶏肉、魚など)を摂取すると、筋力アップの効果が高まります。
逆に、ダイエットが目的であっても、過度な食事制限は筋肉の分解を招き、基礎代謝の低下やリバウンドの原因となります。
消費カロリーと摂取カロリーのバランスを考え、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

無理のない頻度で継続して取り組む

加圧トレーニングは回復が早いとされており、週に1~2回の頻度で行うのが一般的です。
高頻度で追い込むよりも、適切な休息を取りながら継続することが効果を持続させる鍵となります。
自分の体力やライフスタイルに合わせ、無理のないスケジュールを組むことが重要です。

また、寝る直前などのタイミングでのトレーニングは、交感神経を刺激して睡眠の質を下げる可能性があるため、専門家が推奨する時間帯に行うのが望ましいです。
短期間で結果を求めすぎず、長期的な視点でコツコツと続ける姿勢が求められます。

加圧トレーニングはこんな人におすすめ

加圧トレーニングは、そのユニークな特性から、特定の目的や悩みを持つ人々にとって非常に効果的な手段となり得ます。
従来のトレーニング方法が合わなかったり、より効率的なアプローチを求めていたりする場合に、有力な選択肢となるでしょう。
ここでは、これまでのメリット・デメリットを踏まえ、具体的にどのような人に加圧トレーニングが向いているのか、いくつかの例を挙げて紹介します。

運動が苦手でも効率よく体を鍛えたい人

長時間の運動やハードなトレーニングに抵抗がある人にとって、加圧トレーニングは最適な選択肢の一つです。
1回のトレーニング時間が10分から30分と短く、それでいて高い効果が期待できるため、集中力が続きにくい人や多忙な人でも継続しやすいのが特徴です。
また、使用する負荷が非常に軽いため、体力に自信がない運動初心者でも、無理なく始めることができます。
最小限の努力と時間で、効率的に身体を変えたいと考える人に強くおすすめできます。

重いウェイトを使ったトレーニングを避けたい人

バーベルやダンベルといった高重量の器具を使ったトレーニングは、効果的である一方、関節への負担が大きく、ケガのリスクも伴います。
加圧トレーニングは、自重やごく軽い負荷で行うため、関節に過度なストレスをかけることなく筋力アップを目指せます。
過去にケガの経験がある人、関節に不安を抱える中高年の方、あるいは単に重いウェイトを持つことに恐怖心や苦手意識がある人にとって、安全かつ効果的に身体を鍛えることができる理想的な方法です。

ダイエットと美容の両方にアプローチしたい人

加圧トレーニングは、単に体重を落とすだけでなく、美しさを追求したい人にも適しています。
成長ホルモンの分泌促進により、脂肪燃焼を助けるダイエット効果と、肌のハリやツヤを向上させる美肌効果が同時に期待できます。
さらに、血行促進作用によって冷えやむくみが改善されるなど、健康面での副次的なメリットも豊富です。
体型の引き締めと美容、健康維持という複数の目的を一つのトレーニングで効率よく達成したいと考える人に、特におすすめの方法です。

まとめ

加圧トレーニングは、専用ベルトで血流を適切に制限することにより、短時間・軽負荷でありながら、筋力アップ、ダイエット促進、美肌、血行改善といった多様な効果が期待できるトレーニング方法です。
その効率の良さから、運動初心者からアスリートまで幅広い層に適しています。

しかし、その特殊な性質上、自己流で行うことは血栓形成などの深刻なリスクを伴うため、必ず正規の資格を持つ専門家の指導のもと、専用の器具を使用して行う必要があります。
メリットとデメリット、そして潜在的なリスクを正しく理解し、信頼できる環境で実践することが、安全かつ最大限の効果を得るための鍵となります。

記事監修|チョイトレジム代表 早川 周作

記事監修|チョイトレジム代表 早川 周作

資格

  • JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会)
  • 柔道五段(講道館)
  • 空手二段(全空連)
  • 剣道初段(全剣連)
  • 鍼灸師(国家資格)
  • 柔道整復師(国家資格)
  • 柔道整復師専科教員

経歴・活動

  • チームRMC格闘技ジム代表
  • 渋谷区柔道会理事
  • 剛柔流全国大会高校生の部優勝
  • 正道会館グローブ空手の部準優勝
  • 新空手K-3の部優勝
  • 豊島区柔道大会二段以上の部優勝

過去現在サポート選手

  • 鈴木万李弥(K-1)
  • モハンドラゴン(K-1、キックボクサー)
  • 小宮山工介(K-1、空手、キックボクサー)
  • 北村克哉(RIZIN、ボディビル)
  • 廣田瑞人(総合格闘技、UFC)